2016年03月04日

タイトル:衰えによる、遅れ - 土曜劇場

トキ北川タイトル:衰えによる、遅れ - 土曜劇場 icon_new2.gif
街でふと、お年寄りは急がないということに思いあたることがあります。
 「お年寄り」というのが何歳以上の方のことなのか、厳密に定義したことはありません。
 あくまで、見た感じ「お年寄り」と呼べそうな方々のことです。
 大急ぎで歩道を走っているお年寄りは、あまり見かけません。
 扉が閉まる寸前の電車に駆けこもうとするお年寄りも、あまり見かけません。
 もちろん肉体的な問題はあるはずです。
 走ろうにも走れない、急ごうにも急げない、ということなのでしょう。
 しかし、果たしてそれだけなのでしょうか。
 思うに、急がなくていいということも、あるのではないでしょうか。

 私はまだ、お年寄りではありません・・・まぁこれだって、厳密なカテゴライズは皆無です。
 お年寄りに近づいていることは確かだし、もっと若い世代からしてみれば充分にお年寄りではあるにせよ、一般的に「お年寄り」と呼ばれるほどの年齢には、まださしかかっておりません。
 そもそも私を「お年寄り」などと言うのは、本当のお年寄りたちに失礼です。
 私にはまだ、そこまでの寛容性や包容力や思慮深さはありません。
 それに、私はまだ、日々、急いでいます。
 本当のお年寄りには、そこを超越した境地があるように思うのです。
 仕事に行くわけでもないし・・・
 たとえ仕事に行くのだとしても、もう職場でかなりの立場だろうから、少々遅れたって相手を待たせればいいのかも知れないし・・・
 たとえプライベートの約束であるにしても、相手だって時間に余裕のない人でもない可能性が高いし・・・
 発車しかけている電車に乗りたいからといって、一本あとの電車に乗ることにしても大きな支障はないだろうし・・・
 そこには、急がなくてもよい生活が広がり、世界観が広がっているように思います。
 我々若輩者にはまだ味わう術もないゆったりとした時間の流れを、お年寄りたちは知っているのではないでしょうか。
 私はその時間に憧れます。
 しかし、まだそういう時間を過ごすわけにはいきません。
 日々、急ぐ必要があります。
 仕事に遅れまいと足早で歩きながら、電車に遅れまいと駆け足になりながら、生活というのはなんとバタバタと慌ただしいものよと嘆く反面、かつてはお年寄りたちも急いでいたんだと、そんな生活の向こうにこそ、バタバタと急がない境地が待っているのだと、そう思うと、今はまだ急がなきゃいけない時なんだと少し気力が湧いてきます。

・・・結局死ぬまで急がなきゃいけないのであれば、それはそれでいいですけども・・・でもそろそろ確実に、私の中のいろんな物事が、遅れはじめては、います・・・急げなくなってきています。
 まぁこの主人公のすべてが私自身というわけでもありませんが、その一端を、お聞かせいたします。
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posted by fm814 at 06:50