2017年07月04日

娯楽トキドキ情報アワー土曜モチャリスタ ー 土曜劇場7月1日放送分

トキ北川タイトル:「本棚を運ぶ 〜シリーズ「運べない」@〜」
出演:正次・トキ北川
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子供の頃から葬式に出る機会がいくらかありましたが、あれがもう、辛くて辛くてたまりませんでした。
もちろん、元来楽しいイベントではないわけで、みんなどれほど笑顔であっても、笑ってばかりはいられない心情を抱えていて、どれほど気丈に振る舞っていても、気丈にばかりしていられない事情を抱えていて、それらのマイナス要素はすべて、故人との永遠の別離に深く根付いているということは、幼心にもある程度理解できていたので、そんな空間に、しかも長時間身を置かなければいけないこと自体が精神的に重荷である、というのもありました。
ただ、お葬式に出ねばならないことになって、まず「イヤだな」と思うのは、いつ笑いたくなるか分からない、ということでした。
大晦日に、笑ってはいけない人たちが笑ってしまう様を長時間テレビで放送するようになって久しいですが、笑ってはいけない場こそが笑えてしまうというのは、間違いないでしょう。
笑っちゃいけないと思うと、普段なら笑わないようなしょうもないことにまで笑ってしまいます。
やはり欲望は抑えられると、増長するのでしょうか。

小学生のころ、学校でどんなことで笑っていたのか、友達と遊んでいてどんなことで笑っていたのか、何も覚えていません、が、お葬式でどんなことがあって笑いをこられられなくなったのかは、ほとんど覚えています。
従兄弟のダイスケが、長時間の正座で足が痺れているにもかかわらず尿意を催して我慢できなくなり、読経の最中に無理して立ち上がろうとして失敗し、後ろの知らないおばさんをあびせ倒した時。
・・・読経の際、前に正座していたおじさんが「五本指ソックス」を履いていて、左右10本の指が絶えず動いているのに気づいた時。
読経が終わった静寂の中、親戚のマサオさん(無類のうどん好き)がうどんをすする音だけが響いていた時。
火葬場から戻ってきて、膳を囲んで献杯をする際、喪主が挨拶の後、「か・・・けんぱい」と言った時。

極めつけは、同級生のお祖母さまが亡くなった時。
可愛がってもらったクラスメイト何人かでお葬式に参列したのですが、その中の一人(女子)が、「近所の人に貰った」と、セキセイインコを指に止まらせてそのまま参列し、読経の最中、そのインコが飛翔、少し前に立っていたおじさんの黒いスーツの肩に止まって、ウンチをしました。
今から思いだしても、人生屈指の、面白く、苦しい体験でした。

葬式のみならず、人生の中にはいくつか、笑ってはいけない時間というのがあります。
そこでは我慢して、後で思いっきり笑えばいい、とは思うのに、そう簡単なことではありません。
度々そういう場面に遭遇する、意志薄弱な愛すべき凡人を描きたい・・・そう思ってはじめたこのシリーズ。
番組ではお馴染みの二人を、この度、土曜劇場で再演することにしました。
相棒の正次からは常々、「これ、タイトルで『運べない』と言うてしまってるのは、どうなんでしょうか」と言われ続けていますが・・・まぁ、どうせ運べないので、私はこれでいいと思っています。
この二人、どうぞこれから、土曜劇場で可愛がってください。


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posted by fm814 at 00:00